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メルマガ抜粋第29号 リレーVOICE

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(以下は、2014年11月25日発信のメールマガジンからの転載です)

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「超高速」で見えてくる限界:モデリング

じっさいに超高速開発ツールを使いながら、あらためて気づくことがあります。開
発スピードが速ければ速いほど、「システムの全体構想の的確さ」が開発工程全体の
ボトルネックになる。喩えるなら、「超高速に走る船」のパフォーマンスの限界は
「目的地の的確さ」にある。

この単純明快な事実が私の活動の出発点でした。業務システムを開発する際には、
その全体構想を的確にまとめることが何よりも重要――その問題意識にもとづいてモ
デリングツールを自作し、その上で閲覧・編集できる業種・業態別のモデルライブラ
リをまとめました。その後、それらのモデルを素早く実装するために超高速開発ツー
ルを自作し、モデルにもとづく実装のライブラリをまとめています。

この意味で、超高速開発ツールは「ジェット機のデザインから現物を生み出してく
れるドラえもんのひみつ道具」のようなものです。その道具は、与えられたデザイン
をたちまち実装してくれるが、デザインそのものを生み出してくれるわけではない。
いっぽうジェット機のデザインをまとめるには深い専門性が必要で、のび太くんには
無理な話です。

私が超高速開発ツールを「レファレンス(参考になる叩き台)を起点にしてアジャ
イル開発をスタートするための仕掛け」と位置付けているのはそのためです。全体構
想がいい加減なままでツールを使っても、いたずらに超高速に走り回ることしかでき
ない。なぜなら、作りながら全体構成をまとめるには相手がデカすぎるからです。レ
ファレンスを事前に用意できていれば、アジャイルに扱える部分を無難に切り出せま
す。

90年代に「CASEツール」が失敗した理由はここらへんにあると私は睨んでいま
す。マーケティングにおいてモデリングに対する支援が手薄だった。ツールベンダー
さえ、モデリングの重要性を理解していなかったし、そのためのスキルも足りなかっ
た。けっきょく彼らの関心は「自慢のひみつ道具」を売ることで、モデリングは買い
手の課題とみなされていた。

そういうわけで、超高速開発コミュニティの役割のひとつは、システム内製におけ
るモデリングを支援するためのレファレンスを整備し、社会に提供することではない
かと考えています。業種・業態別のモデルや、これにもとづいて実装された「動くシ
ステム」のライブラリを開発の起点にしてもらう。不可能な話ではありません。なに
しろ我々には、システム開発に関する知見と超高速開発ツールがあるのですから。

なんのかんの言っても実装はシステム開発の一局面に過ぎず、超高速に実装できる
ことの効果は案に相違して限定的です。今も昔も、システム開発のボトルネックは実
装ではなく、DB設計を含めた全体構想をまとめる過程にあります。この部分を手当
しない限り、新奇な開発ツールに対する顧客の不安が消えることはないでしょう。そ
して、そんなこまごました疑念を吹き飛ばしてくれる「圧倒的なレファレンス」を整
備できる主体は、超高速開発コミュニティだけでしょう。超高速に開発できる特権
を、ベンダーが稼ぐためだけでなく、これまでこの業界が怠ってきた社会資本の整備
のために行使できたらと思います。

(有)DBC代表 渡辺幸三
ブログ「設計者の発言」http://watanabek.cocolog-nifty.com/blog/

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