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メルマガ抜粋第21号 リレーVOICE

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(以下は、2014年7月22日発刊メールマガジンからの転載です)

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「要求実現速度を上げるための超高速開発」
山本康
経済産業省CIO補佐官
特許庁上級システムアドバイザー
ITコンサルタント

『超高速開発』という言葉を聞くようになってから数年が経ちました。
今年は書籍も発売されて、いよいよ超高速開発も市民権を得たと言えるでしょう。
以前はこの概念を人に説明するのが難しかったのですが、今ではずっと楽になっ
てきました。

ただし、まだ話題の中心は『超高速開発ツール』であって、システム開発者が
プログラミングの手間を削減するための開発ツールという捉え方が一般的です。

しかし超高速開発の目的は、単にプログラムの自動生成で開発工程を短縮する
だけではないはずです。
超高速開発、あるいは超高速開発手法とは、開発ツールだけでなくそれを使って
情報システムを超高速で構築するための概念や方法論だと捉えるべきだと考えま
す。超高速開発が今までのシステム開発とどう違うかを評価する際には、単に開
発速度だけを比較するのではなく、システムへの要求を認識してからそれが実現
するまでの期間、すなわち『要求実現速度』といった指標を考えると良いかもし
れません。

一般的なエンタープライズシステムのライフサイクルは、構想・企画段階から
調達を経て設計・開発、移行、運用、保守、廃棄(更改)と続きます。
そして、このライフサイクルは一度きりのものではなく現行システムが稼働して
いる間に次代システムの構想・企画が始まっているという複合型のスパイラルに
なっています。
超高速開発手法は、開発工程だけでなくすべての段階において超高速でなければ
なりません。

例えば、企画段階から調達段階に至る過程での要求定義に時間がかかり、その
内容も十分でない場合には、いくら開発工程を短くしたとしても企画から導入ま
での期間を短縮することはできません。

あるいは、設計・開発段階においても、利用者組織の要求を十分に理解できず、
システムの基本設計の期間が長くかかったのでは、コーディング・単体テストの
期間が短くなったとしても、全体の期間は短縮できません。

要求実現速度を向上して、組織に役立つシステムをタイムリーに構築するため
には開発組織だけでなく情報システムの利用組織も超高速開発に取り組む必要が
あると考えています。

情報システムの利用組織は、あいまいな要求で開発組織にシステム構築を丸投
げにするのではなく、システムの導入目的を明示してしっかりとした要求管理体
制を敷いた上でシステム導入に取り組む必要があります。
組織内の合意形成プロセスを確立し、意思決定の迅速化を図る必要があります。

まだ見ぬ情報システムへの要求を具体的に定義することが難しいのであれば、
超高速開発ツールを使ってプロトタイプシステムを実際に作ってしまい、それで
システムの具体的なイメージを確認することもできるでしょう。
いっそのこと、小さなシステムであれば内製してしまってもよいかもしれません。
最終的なシステム構築は開発組織に委託するとしても、プロトタイプで確認した
要求は、開発組織に伝えやすくなるでしょう。

また、超高速開発ツールを使ったシステム開発を開発組織に委託した場合、開
発期間が短縮できるとしても、要求したものの全てが実現できるとは限りません。
要求とシステムで実現できることとのギャップが生じた場合には、要求の本質は
何かを考えて、要求の優先順位付けをした上での合理的でバランスの取れた判断
をすべきです。

システム開発を委託された開発組織は「おっしゃる通りにシステムを作ります。」
という姿勢ではなく、利用組織の経営的な視点でシステムの利用目的を理解して、
業務に役立つシステムを設計できるように、上流工程を重視する必要があります。
設計・開発においては、データモデリングのスキルを磨き、本質を捉えたデータ
モデルを作成する必要があるでしょう。
また、超高速開発ツールを使うのであれば、その利点を最大限に生かすための
プロトタイピング手法による開発プロセスを用意すべきだと考えます。

この両者のコミュニケーションロスを防ぐためには、要求定義様式の標準化が
必要かもしれません。システムの利用組織と開発組織の両方に理解でき、システ
ム設計に活かせるような要求定義の方法論を確立したいものです。

『超高速開発』を旗印にして、利用組織と開発組織の協力によりエンタープラ
イズシステムに革命が起きることを期待します。

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