(以下は、2014年6月24日発刊メールマガジンからの転載です)
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『超高速開発が企業経営にもたらす影響』
サイバー大学 IT総合学部 教授 勝 眞一郎
システムを作るということは、アイデアを現実に引き寄せる作業である。
この場合の現実とは、「動くシステム」を指す。アイデアは整合性を必要と
せず、現実化の段階で度々不整合を起こす。そのため、我々はドキュメント
という媒介物で整合性を確認しようと試みる。これがいわゆる仕様書である。
アイデアの段階で所々のアイデアの整合性を確認し、中間のドキュメント
の段階で関連するドキュメント同士で整合性を確認するのが、いわゆるウォ
ーターフォール型開発である。手続き的には正しいと思えるこの作業手順は、
ドキュメント段階での整合性確認が実際は何ら保証されていないことから、
プログラミング時点における修正を引き起こす。これが仕様変更や手戻りと
呼ばれる現象である。
超高速開発は、アイデアから「動くシステム」の間に横たわる「時間の谷
間」を小さくして、即座にユーザーに現実として具体的に動く仕組みとして
提供する。そのため、ユーザーは、自分が次に使用するシステムとして現場
を想定し確認でき、システム構築プロジェクトの資源を圧迫する仕様変更や
手戻りを減らすことが可能になる。超高速開発が企業経営に効果的であると
言われる理由のひとつがここにあると、私は考えている。